「君にもできるカンタン合気道」— 力に頼らない護身術と、ぶれない心の作り方(第24回スコラ)

授業レポート

 「武道」「護身術」と聞くと、少し身構えてしまうかもしれません。厳しい稽古、屈強な肉体…。ですが、もし「力に頼らず、自分より大きな相手から身を守れる」「体の使い方を知ることで、不思議な体験ができる」そんな武道があるとしたら、体験してみたくありませんか?

 今回、学びたいを見つける場所「スコラ」では、「君にもできる カンタン合気道」を開催しました。合気道の達人を講師にお招きし、その奥深い世界への入り口を覗かせていただく、貴重な機会となりました。当日は「本当に私にもできるの?」と、期待と少しの不安が入り混じった表情で集まった参加者の皆さん。しかし講座が終わる頃には、その表情は驚きと発見に満ちた晴れやかなものに変わっていました。今回は、そんな不思議な体験にあふれた当日の模様をお届けします。

講師紹介:合氣道旭川道場の皆さま

 今回、合気道の世界を体験させてくださったのは、旭川で唯一の、公益財団法人合気会公認道場である「合氣道旭川道場」の皆さん。
 合氣道旭川道場は、防衛庁合気道連合会主催の演武大会で「優秀支部賞」を受賞するなど、武術としての実践性を重んじつつ、極めて安全かつ合理的な稽古法で教授しています。運動に自信のない方や女性でも、護身の技から世界に通じる黒帯取得まで、それぞれの目標に合わせて無理なく成長できる環境が魅力です。

道場長の多田昌弘さん

畳の上で知る、身体の不思議

 会場となったのは、広々としたアリーナやトレーニングルーム、そして今回使用した武道場まで備える「東神楽町総合体育館」。まさに町民の健康と交流の拠点です。

本日の会場である、東神楽町総合体育館の武道場

 まずは畳に上がり道場に向かって一礼。参加者も指導員の動きに倣い、心を整えて畳の上に足を踏み入れました。そして全員で準備運動を開始します。普段なかなかしない動きに戸惑いながらも、道場長や指導員の動きを真似ながら体をほぐし、少しずつ体のスイッチを入れていきます。
 そして全員で正座し、一礼。「礼に始まり、礼に終わる」。武道の精神が、凛とした空気を作り出します。

道場に向かって一礼。
準備体操で体をほぐしていきます。

 まずは、相手からの攻撃をかわすための「体のさばき方」を学びました。はじめに道場の皆さんが模範演技を披露してくださいます。その所作は一見とても簡単そうに見えますが、実際に自分でやってみると、なかなか思うように体が動かず戸惑う姿も見られました。それでも、指導員の方が丁寧にサポートしてくださったおかげで、少しずつコツを掴み徐々に動きが身についていきます。

 「ポイントはいくつかあります」と道場長。
「一つは、相手よりも先に動かないこと。おどおどしたり、焦って動いたりすると、相手に見切られてしまいます。お腹の下、丹田(たんでん)を意識して、『さあ、打って見よ』という覚悟で、どっしりとぶれずに待つんです」
「そして『目付け』。敵の武器や目など一点だけを凝視してはいけません。『遠山の目付』と言って、相手の全体をぼんやりと見ることが大事です。相手の目を見ると吸い込まれてしまいますよ(笑)」と道場長は語ります。

「さらに『間合い』。相手との距離感です。近すぎず遠すぎず、合気道は、様々な武道の良いところを取り入れた、中間間合いの武道なんですよ。」

 続いて、二人一組になって、護身術を学びます。例えば相手に手首を掴まれたときにどう身を守るか——
「まず自分の身を守ることが何より大切。攻撃することは考えず、とにかくかわすこと。武道は元々、生きるか死ぬかの世界ですから、まずはかわして生きることが大切です。」

 教わった通りに体を動かしてみると、しっかり掴まれていたはずの手が、不思議と自然に離れていきます。力で逃れようとするのではなく、相手とのつながりがすっとほどける独特の感覚。思わず「おお……」「できた!」と、あちこちから感嘆の声や笑顔がこぼれました。
 そして次のステップでは、相手が動けないように押さえる技も学びました。ここでも、腕力を使わず相手を押さえます。技をかけられた側が身もだえている様子に、驚きと身体の不思議を感じました。

 あっという間の90分。最後は全員で黙想。静かに呼吸を整え、今日学んだ身体の感覚を自分の中に落とし込んでいきます。そして、再び全員で一礼。清々しい達成感が道場を満たしました。
 道場長は「今日やったのは、ほんの入り口。技はもっとたくさんありますから、ぜひ道場にも遊びに来てくださいね」とにこやかに語りました。
 講座後、指導員の多田由香さんは、笑顔でこう話してくださいました。「合気道は、私にとって人生のバイブルなんです」。その言葉が、合気道の奥深さを何よりも物語っているように感じられました。

日常に活きる「和」の智慧

 今回のスコラ講座は、単なる護身術教室ではありませんでした。力で対抗するのではなく、相手を受け入れ、流れを変える。それは、人間関係や仕事など、日々の生活における様々な課題解決にも通じる「智慧」ではないでしょうか。ぶれない軸を持つ合気道の稽古の中に、現代社会をしなやかに生き抜くためのヒントが隠されている。今回はその奥深い世界の、ほんの入り口を垣間見たような時間でした。
 「合氣道旭川道場」の皆様、そしてご参加くださった皆さん、誠にありがとうございました。
 スコラでは今後も、皆様の知的好奇心を満たす、魅力的な学びの場を提供してまいります。次回もどうぞお楽しみに!