木のぬくもりと、参加者の想像力があふれた素敵なひととき。スコラ講座「コッパで動物づくり~KOPPANIMAL~」が開催されました。今回の講座では、家具などを作る過程で生まれる「木っ端(こっぱ)」を使い、オリジナルの動物オブジェを制作。小さな素材から無限の可能性を引き出す「デザイン」の面白さを、参加者全員で体感しました。
講師紹介:コペトデザイン 上田カオル先生
今回の講師は、旭川市を拠点に活躍するグラフィックデザイナー・上田カオル先生(コペトデザイン)。兵庫県出身で、現在は旭川市地域おこし協力隊としてデザインギャラリーの運営や地域のデザイン推進に尽力されています。地域素材を活かした商品開発やデザイン制作にも精力的に取り組み、「ものづくり」に新たな視点をもたらす活動を行っています。

デザインってなーに?
「みなさん、デザインって何だと思いますか?」
講座は、上田先生のこんな問いかけから始まりました。「絵を描くこと?」「かっこいいものを作ること?」――。そんな声が聞こえてきそうです。先生はにこやかに、「デザインとは、単に絵を描いたりモノを作ったりするだけではなく、『ものごとをよりよくする』ことでもあるんです。」と教えてくれました。「組織として心地よく活動するには?」「自分の人生をよくするには?」そういった目に見えないものをよりよくすることも「デザイン」。奥が深いですね。
続いて、スクリーンに映し出されたのは「〇」「△」「□」のシンプルな図形。「この形から、どんな印象を受けますか?」という先生の問いに、参加者は「〇は、やさしい感じ」「□は、かたそう」と次々に答えます。形が持つ印象を意識するだけで、ものの見え方が変わる。これから作る「コッパニマル」においては、ベースとなる木っ端が同じだったとしても、耳のパーツの形や貼り付ける位置、模様の描き方を少し変えるだけで、猫になったり、うさぎになったり、クマになったりするわけです。その変化の面白さを、これから実際に手を動かしながら感じていきます。

さあ、KOPPANIMALをつくろう!
さあ、いよいよコッパニマルづくりです。今回使用する木っ端は、東神楽町内で木製家具の製造・販売をされている「匠工芸」さんからご提供いただいたもの。家具の制作工程でやむなく出てしまった端材を有効活用します(匠工芸さんご提供ありがとうございます!)。
形も、木の種類も、大きさも違う木っ端の山は、まるで宝の山のよう。「どの形を使おうかな?」「この丸いのは顔にぴったりかも!」。どう表現すれば、作りたい動物に近づけるか。ああでもない、こうでもないと木っ端を並べ替え、最高の組み合わせを探す時間。その真剣な表情は、まさにクリエイターそのものです。


布も、ソファなどを作る過程で出たハギレを上田先生がご用意くださいました。本来であれば捨てられてしまうはずだったものに、私たちの想像力で新しい命を吹き込んでいきます。これは、SDGs(持続可能な開発目標)の12番目の目標「つくる責任 つかう責任」にも通じる、大切な学びの体験です。


制作が始まると、会場は心地よい集中力に包まれました。参加者の自由な発想には驚かされるばかり。例えば同じライオンを作っていても、たてがみをカラフルな布で表現したり、逆に木っ端で表していたりと、柔軟なアイデアが次々と飛び出します。その様子に、講師の上田先生も「子どもたちのアイデアは本当にすごいなあ」と感心しきり。大人たちも負けていません。「どっちの耳がいいかな?」「この模様、面白いかも!」と、童心に返ったような眼差しで、時間を忘れて制作に没頭していました。


「ないもの」を嘆くのではなく、「あるもの」をどう工夫して使うか。木っ端と端切れが、私たちの創造力次第で、こんなにも多様な表現を生み出すことができる。これこそが、この講座で得られた最大の学びでした。
創造力の火が灯った時間
完成したコッパニマルたち一体一体が、作り手の個性輝く、世界でたったひとつの宝物です。作品が完成すると、会場には満足そうな笑顔があふれ、その明るい雰囲気がこの講座の成功を何よりも物語っていました。
「コッパで動物づくり」は、単なる工作教室ではありません。ものの見方を変え、身の回りにある素材の可能性に気づき、自分の中にある創造力に火を灯す、素晴らしい「学び」の体験となりました。
スコラでは、これからも東神楽町の皆さんの知的好奇心を刺激する、楽しくてためになる講座を企画してまいります。次回の開催も、どうぞお楽しみに!



